もし、旦那さんが突然
農業したいと言い出したら
あなたはどうしますか?
まったく予想もしなかった、
夫の農業への転職。
夫といっしょに味わう、
まさに人生のどんでんがえし。
妻の立場からのドタバタ模様です。

結婚5年目の破局か!
忘れもしない、2003年2月。

突然主人が「俺、仕事辞めて農業やろうと思うんだけど」
と言い出しました。
私は冗談だと思い、
「バカじゃない?あなたにできるわけないでしょ。」と鼻で笑い、
話をさらっと流しました。

でも主人は何故か、やる気満々。日々そのやる気が増している感じ。
「農業やるならやっぱり長野県かな~」
など増々冗談のようなことをいう始末。

なぜ長野県と思いついたか? それは、松本市波田に私の実家があるから。
それにしても私の実家は主人の実家同様、非農家。サラリーマンの普通の家です。

でも、実家の母が送ってくれる野菜や果物は
東京で買うものとは比べものにならないくらい 美味しいと主人は常々言っていました。
そして夏休み、お正月など遊びに行くたびに 長野はいいな~と言っていました。

私の父は国家公務員で転勤族のため実家のある長野県松本市波田には
小学3年の時に 引っ越してきたのですが、
友達はできても何となく町に馴染めないというか、
違和感があるような感じで、私はその当時、田舎があんまり好きではありませんでした。
常にこの町から出たいと思っていて、就職したのも東京でした。

当時、結婚5年目の私達夫婦は東京都調布市に住んでいました。
主人は広島生まれの東京育ち、実家は東京都多摩市に立派な家があり
しかも長男なので、いずれ主人の両親のそばで老後の面倒を見るのだと嫁の立場として自覚し、
東京に骨を埋めるつもりでした。

それなのに、いきなりの主人の思いつき!
「いったい何なんだよっ!」と思いました。

それに主人が農業をやるということは妻である私も絶対的に手伝わないといけないと思いました。

それは大いに困ること。
なぜなら私は

① アウトドアがあんまり好きではない
② 日焼けしたくない、焼けると真っ赤になり辛い
③ 虫が大大大大大嫌い
④ 土いじりすると手が荒れるので、好きではない
⑤ 極度の貧血であるため体力に自信がない
などなど、挙げればきりがないほど自分は農業に適さない人間だと思っていたからです。

しかも当時、私の中によぎった農業に対するイメージは
農家さんには大変申し訳ありませんが、お世辞でも良いとは言えません。

簡単にいってしまえば「ダサい」の一言(この言葉はもうほぼ死語ですが)
格好悪い、汚い、キツイ・・・・

そう、作物を作ったら出荷し値段は農協や市場に決められキツさに比べて儲からないなどなど・・・。
今思えばホント、うわべだけのイメージです。
でも、それがその時思った正直な気持ちです。

しかも代々続く農家ならいいけど、まったくの「ど素人」が新規で始めるなんて
昔の小作のイメージ「おしん」のような苦しい生活が待っているのではないか・・・なんて
現代だからそこまで酷くなくても、でも辛い生活と借金が待っていると思いました。
農地も無いし機械もまったく無いんですから。

そう思ったら私の人生ってどうなるんだろうと不安に押しつぶされそうになり
会社から帰ってから主人が帰ってくるまでの一人の間、毎晩、本当に毎晩泣いていました。

離婚も考えました。本当です。
それくらい主人が農業を始めることが嫌で嫌でたまりませんでした。

でも主人はまったく私の話など耳に入らないようでした。
そして勝手際まりなく、就農相談会に行く始末。

やがて話はとんとん拍子(このあたりは主人の激転職すいか人生に書いてあります。)に
ことが進み「農業やろうと思うんだけど」と言い出してから約2か月後の4月から
長野県の就農制度に沿って研修をすることになってしまいました。

なんて勝手な人なんだろう・・・・。
私は落胆しました。やっぱり離婚か・・・・。

そうどん底まで考えた時、ふと頭に浮かんだことがありました。
私は農業が嫌いなだけ。
この人が嫌いなわけじゃないのになんで離婚しなくちゃいけないの!!!!
という矛盾。

そして最終的には「なんで私がこんなことで悩まなくちゃいけないのォォォ!!!!」と
矛盾が怒りに変わりました。
怒ると人は強くなります(((笑)))

私が反対して主人が農業をやるのを諦めて後悔されるより、
自分でやってみて後悔したほうが納得いくだろうと思い直しました。

それに「絶対主人になんてできるわけない、そうよ!やってみなさいよ、あはは~~」と
楽観的なのか、はたまた共倒れともなる自爆的な考えに、たどり着きました。

それからもうひとつ、私が反対して主人が諦めた時、
「私のせいで主人に夢を諦めさせてしまった」と自分が後悔したくありませんでした。

そしていよいよ4月から新生活のスタートをしたわけです。


© 2016 DOHINOUEN. All Rights Reserved.